#プロのひと工夫

身近なもので、特別な日のテーブルコーデ。プロ実践のお手軽テク

2023.3.10
特別な日は思い出に残る食卓にしたいですよね。今回は、身近なものを使っておうちごはんを華やかにする方法をご紹介します。教えてくれるのは、パーティスタイリストであり、パーティスタイリングカンパニー「Tokyo Flamingo」の代表も務める久林紘子さんです。

スタイリッシュな演出や高級感のある空間スタイリングを得意とする久林さんに、いつもの食卓がパッと華やぐ盛りつけのコツや、雰囲気を格上げするテーブルスタイリングのアイデアをお聞きしました。

インタビューした人
パーティスタイリスト
久林 紘子さん

ハイファッションブランドのデザイン課、PRを経験したあと、ベルギーのブリュッセルで色使いやパーティ文化を学ぶ。帰国後、パーティスタイリストとしての活動を開始。雑誌撮影や企業イベント、CMなどの空間スタイリングのほか、企業の公式Instagramのディレクションなども手がける。著書に『フォトジェニックなHAPPY BIRTHDAY』(光文社)。

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記念日の思い出を、かわいく残すお手伝いがしたい

久林さんがパーティスタイリングに最初に興味をもったのは約10年前、お子さんが1歳の誕生日をむかえたときのこと。
記念写真を撮ろうと写真館へ。すると、装飾の雰囲気が普段のお子さんのイメージからかけ離れたものに思えたという久林さん。

そこで、写真館の方に相談し、当時パーティーの飾りつけによく用いられていたフラッグガーランドを手作りして持ち込んだのだそう。

そのときの写真が写真館のブログに掲載されると、たちまち大きな反響が。「そのときに初めて、かわいいパーティグッズへのニーズがあることを感じたんです」と、久林さんは振り返ります。
その後、家族の転勤をきっかけにベルギーへ。ホームパーティ文化が日常に根づき、かわいいパーティグッズもたくさん売っていることに大きな衝撃を受けたといいます。

とりわけ、子どもの誕生日にホームパーティを開いて思い出を残そうとする習慣に触れるうちに、「日本でも気軽に記念日の思い出を残せるお手伝いがしたい」と思うようになったそう。

帰国をきっかけにキッズパーティのスタイリングを開始。

「最近は日本でもホームパーティブームが広がり、かわいいパーティグッズをお店で見かけるようになってきました。ホームパーティはコミュニケーションや、おいしいものを楽しむ場。これからも、身近なものでコストを抑えながら、素敵なテーブルコーディネートのアイデアを広めていきたいと思っています」と久林さん。

センスは不要♪手軽に特別感が演出できるアイデア

家族の誕生日や記念日などに、いつもよりちょっと食卓を華やかに飾りたいと思うときってありますよね。でも、非日常の食卓を作り出すにはどうしたらいいのか、さっぱり見当がつかないという方も多いのでは?

そこで、身近なものを使っていつもより華やかで特別感を演出できる、久林さん直伝のテーブルスタイリングのアイデアをご紹介します!

ポイント1・前菜やおつまみをカッティングボードに隙間なく、ラフに盛りつける

まず初めにご紹介いただいたのは、前菜やおつまみの盛り合わせを意味する「グレージングプラッター」♪食卓を華やかにみせるのにうってつけのアイデアです!

いろんな食材をカッティングボードに隙間なく、縁ギリギリまでぎゅぎゅっと詰めてのせるだけで、簡単おしゃれに☆
このとき、きれいに並べるのではなく、あえてラフに盛りつけるのがポイント!

ときにナッツやクラッカーをボードからはみ出させると、自然さや空間のリズム感が演出できて、洗練されてみえるのだそう。
カッティングボードは、百円ショップや食器を扱っている雑貨屋さんなどで安価に手に入るので、ひとつ持っておくととても便利。

「チーズやハムなどの盛り合わせだけでなく、たとえばブルスケッタを並べるだけでも、いつもの食卓がおしゃれに見違えます」と久林さん。

気をつけたいのは、全体の色味が茶色に偏りすぎないこと。野菜やハーブなどで鮮やかな色味を取り入れるように意識すると、一段と華やかになるそうです!

ポイント2・食器に高さを出して、非日常感を演出☆

おうちパーティの雰囲気づくりのコツは、非日常感を演出すること。普段、平らになりがちな食卓ですが、ケーキスタンドやシャンパングラスなどの食器を使って高さを出すと、雰囲気がガラッと変わるのだそう!
ケーキスタンドがなくても大丈夫!食器と食器をつなぎ合わせることで簡単に作ることができるんです。

「わたしがよく使うのは、湯呑みと平皿です。湯呑みは飲み口が広いので、安定した土台になってくれます。平皿の直径は、ケーキの大きさに近いものを選ぶと、より高さが強調されるのでおすすめですよ」と久林さん。
マカロンなどの軽いお菓子をのせるときは、紙コップと紙皿でもOK。コツは土台とお皿の接着に肉厚の両面テープを使って、しっかり安定させること☆

ポイント3・テーブルランナーでいつもの食卓がパーティ仕様に変身♪

テーブルの真ん中に敷くテーブルランナーも、手軽に食卓を華やかにしてくれる頼もしいアイテム。
テーブルランナーは専用のものじゃなきゃと思ってしまいがちですが、今回久林さんが使ったのは、モッツァレラチーズを絞るための「チーズクロス」と呼ばれるガーゼ素材の布!いろいろな色があってしかも安価なので、取り入れやすいのだそう。

コットン素材のストールや、スカーフなど、身近なもので代用するのもおすすめなんだとか。

ひな祭りのお祝いなどでは、着物の帯を使うと上品な和の雰囲気に!布の代わりに葉っぱを中央に連ねておいても、また違った雰囲気になって素敵ですよ♪

ポイント4・おしゃれ紙皿で食卓に色味をプラス

いつもと違う食器を使うのも非日常を演出するポイント。食器といっても陶器である必要はありません!

最近は単色のものだけでなく、形や模様が美しくデザインされた紙皿も雑貨屋さんなどで簡単に手に入ります。演出したい雰囲気に合わせて選んで並べると、さらに特別感のある食卓に♪

サイズの違う紙皿を重ねて置くと、より洗練された雰囲気に☆重ねた紙皿は、前菜やおつまみ用、お料理用という具合にそれぞれ取り皿として使うことも!
カトラリーもいつもと違うものを取り入れると特別感がUP☆金属やプラスチック製のものを普段お使いなら、たとえば木製ものを。

木製のカトラリーは、いろんなスタイルに馴染みやすいうえ、子どもが誤って噛んでしまっても割れにくいというメリットも!こちらも雑貨屋や百円ショップなどで手に入れることができますよ。

「配置するときは全員分の向きをきっちり揃えるのではなく、あえてそれぞれ違う置き方にすると、動きが出てかわいらしくなりますよ。紙ナプキンを差し色に取り入れるのもおすすめです」と久林さん。

ポイント5・スタイリングのテーマやテーマカラーを決める

とはいえ、スタイリングに統一感をもたせるのは難しそう・・・
そんな悩みの解決法も久林さんにうかがいました!

雰囲気をうまくまとめる秘けつは、まずテーマを決めること。あれこれ要素を盛り込みすぎるのを防いで、節約や時短にもつながるのだそう♪

たとえば、「地中海」「アジアン」「ヨーロッパ」といった料理のテイストや、「フレンチシック」「シンプルモダン」といった装飾のテイスト、「ハロウィン」「クリスマス」といったイベントなど、イメージしやすいものから入るのがポイント。

ほかにも、牡蠣がメインのオイスターパーティなら「海」をテーマにするといったように、料理起点で決めるのもおすすめです!
テーマが決まったら、次は食材やテーマカラーを絞ります。

たとえば、テーマが「地中海」ならブラックオリーブやフェタチーズ、テーマが「海」なら白やネイビーのマリン系という具合に、特徴的なものを取り入れてみてください!

「今日は『夏』をテーマにしてみました。ブルーとイエローを取り入れて、トロピカルな感じも意識しています。テーマを決めるときは、ゲストが喜びそうなものを選ぶといいですよ」と久林さん。

ポイント6・余計なものは、思い切って引き算する

最後に、久林さんに教えていただいた上級者向けのテクニックをご紹介!

「全体のバランスを客観的にみて、ひとつだけ目立っている、視線がそこにばかり引き寄せられてしまうと感じるものがあれば、思い切って引き算します。客観視するのが難しい場合は、一度スマートフォンで写真を撮ってみると、新鮮な目でみることができますよ」

用意したものは全部のせしたくなるところですが、目立ちすぎている色やアイテムを取り除くことで、統一感のあるスタイリングが生まれるのだそう!

おうちパーティに最適♪作っていただいたレシピをチェック!

おうちパーティというと、主役はやっぱりお料理。見栄えのするお料理はハードルが高そうと思われがちですが、身近な食材を使って手軽に作れるものも少なくありません。

今回、久林さんに作っていただいたレシピはこちら☆

編集部でもやってみた!

いつもの食卓の雰囲気を変えられることにワクワクしながら、編集部でもさっそく試してみました!

選んだテーマは、「アフタヌーンティーパーティ」。家にあったお猪口と平皿を重ねて三段のスタンドを作り、フルーツやお菓子、軽食を並べてメインに据えてみました。
もちろんカッティングボードも大活躍。テーブルランナーには、花柄のスカーフを使ってみました。

配置はあまり計算せず、かなりラフに並べたのですが、久林さんに聞いたポイントを押さえるだけで見違えるほど華やかになり、本当にびっくり!家族にも「楽しかった!またやりたい☆」と喜んでもらえました♪

頭の中であれこれ考えていると難しく感じてしまいますが、今回久林さんに教えていただいたポイントに沿ってやってみると、思った以上の感動が味わえます!ぜひ一度試してみてくださいね!

<記事転載元>
「AJINOMOTO PARK」PARK MAGAZINE
おだいどころ虎の巻#8テーブルコーデ華やぐ久林さんの極意